8:45~17:30 土日祝定休
昨年8月、知人宅でエアコンの容量アップ工事が行われることになりました。しかし工事中、施工業者から「分電盤内の100V幹線銅バーを200V幹線銅バーへ変更したいが、バーの雌ネジが潰れており接続変更ができない」との説明を受けた知人から、困った様子で相談の連絡が入りました。
状況を確認した私は、工事業者に対して、他の回路を200V側へ振り替えて新しいエアコンへ電源を供給し、問題のある回路は従来どおり100Vのまま残すよう指示しました。その後、帰宅前に知人宅へ立ち寄り施工状況を確認したところ、指示どおりに工事が行われており、真夏の暑さの中でもエアコンを停止させることなく利用できる状態になっていることを確認できました。
ところが翌9月、知人から再び連絡が入りました。
「今回の工事とは関係のない別のエアコンが動かなくなった」というのです。
話を聞くと、そのエアコンは少なくとも4月頃までは正常に使用できていたとのことでした。さっそく現地で調査を開始しました。
まずテスターで測定したところ、エアコン回路には正常な100Vが供給されていませんでした。一方で電子検電器を当てると、両極ともLEDが点灯し、ブザーも鳴動します。またアースとの間には電位も確認できました。
さらに詳細に測定すると、両極ともアース間に正常ではない異常な電圧が発生していました。当初は漏電も疑いましたが、原因を絞り込むために分電盤を再調査することにしました。
調査の結果、対象回路の分岐ブレーカでは一次側・二次側ともに電圧が出ていないことが判明しました。
しかし外観上は、ブレーカ自体が幹線銅バーへ確実に接続されているように見えます。
真夏の暑い時期でもあり、長時間停電させるわけにはいきません。そこで慎重に確認を進めたところ、分岐ブレーカの取り付けネジが緩んでいることを発見しました。原因は極めて単純で、そのネジの緩みによって回路への電源供給が断たれていたのです。
つまり、エアコン増設工事の際、本来触れる必要のない分岐回路まで作業が及び、その後に確実な復旧が行われていなかったことが原因でした。
その瞬間、思わず心の中でこう叫んでしまいました。
「バカッヤロー……。」
もちろん、作業された方にも事情はあったかもしれません。しかし、他の設備へ影響を与える可能性がある以上、工事後の確認は徹底して行うべきだと改めて感じた出来事でした。

後日、知人からは「何度も調べてもらったので費用を支払いたい」と申し出を受けました。しかし今回のトラブルは同業者による施工ミスが原因であり、自分としては当然の対応をしただけでしたので、お気持ちだけ受け取ることにしました。
その後、エアコンの使用頻度が下がった11月に改めて分電盤を見直し、応急的に変更していた分岐回路を元の状態へ復旧しました。さらに、雌ネジが破損していた200V幹線銅バーについては、別の分岐回路から迂回配線を行う形で改修し、安全かつ確実に電源供給できるよう改善を実施しました。
今回のトラブル調査で痛感したのは、電子検電器だけに頼ってはいけないということです。
電子検電器は通電の有無を簡単に確認できる便利な工具ですが、誘導電圧や浮遊電圧にも反応するため、実際には正常な電源が供給されていなくても通電しているように見える場合があります。
そのため異常診断を行う際は、
という基本動作を確実に行うことが重要です。
今回も、電子検電器の反応だけを信じていたら原因究明までさらに時間を要していたかもしれません。改めて、基本に忠実な測定の大切さを再認識する機会となりました。
今回の件とは別に、200V幹線銅バーの雌ネジが破損していた原因についても考察しました。
状況から判断すると、過去の工事においてインパクトドライバーで締付け作業が行われ、ネジ山を損傷させた可能性が高いと考えられます。
近年は施工効率向上のためインパクトドライバーを使用する現場も増えていますが、分電盤内部のような重要設備では過大な締付けトルクが重大なトラブルにつながる場合があります。
当社では以前から、
というルールを徹底しています。
施工品質は、一見すると地味な作業の積み重ねによって支えられています。今回の事例は、電気工事において「触らなくてよい部分は触らない」「触った箇所は必ず元に戻す」「基本を疎かにしない」という原則の重要性を改めて教えてくれた出来事でした。
カテゴリー
カテゴリー