8:45~17:30 土日祝定休
日本では地震、台風、豪雨などの自然災害が毎年のように発生しています。防災対策というと備蓄や避難訓練に目が向きがちですが、近年重要性が高まっているのが「情報伝達の多様化」です。
特に訪日外国人や在留外国人の増加により、自治体や企業には多言語での防災情報発信が求められるようになりました。
総務省の統計によると、在留外国人数は年々増加しており、地域社会の中で外国人住民が暮らすことが当たり前になっています。そのため、防災においても「日本語が分かる人だけを前提にした仕組み」から、「誰にでも伝わる仕組み」への転換が進められています。
災害時には数分の判断が命を左右することがあります。
避難指示 避難所の開設情報 断水や停電情報 支援物資の配布情報
こうした重要な情報が理解できなければ、適切な避難行動を取ることはできません。
だからこそ今、防災分野では「多言語対応」と「分かりやすい情報伝達」が大きなテーマになっています。

多言語防災とは、災害時の情報を複数の言語で伝える取り組みです。
しかし実際には単なる翻訳だけを意味するものではありません。
近年では
などを組み合わせ、外国人だけでなく高齢者や障がいのある方にも伝わりやすい情報発信が重視されています。
例えば「至急避難してください」という表現を、
「危険です。すぐに安全な場所へ逃げてください」
と伝えることで、日本語を学習中の外国人にも理解しやすくなります。
このような「やさしい日本語」は、1995年の阪神・淡路大震災を契機として広まり、現在では全国の自治体が活用を進めています。
東京都では「東京都防災アプリ」を提供しています。
アプリは日本語だけでなく、
に対応しており、防災情報の確認や平時の備えに活用できます。
災害発生時には避難行動に関する情報や各種防災情報を多言語で確認できる仕組みが整備されています。
名古屋市では多文化共生施策の一環として「やさしい日本語」の普及を進めています。
また愛知県も「やさしい日本語の手引き」を公開し、外国人住民にも伝わる情報発信を推進しています。
これは外国人だけではなく、
などにも分かりやすく、災害時の誤解や混乱の防止にもつながっています。
内閣府では外国人向け防災資料を公開しており、QRコードを利用して15言語で防災情報を閲覧できる仕組みを提供しています。
災害が発生してから慌てて情報を探すのではなく、平時からこうした情報源を知っておくことが重要です。
災害時には、
「放送したから大丈夫」 「掲示したから大丈夫」
では十分とは言えません。
重要なのは、情報を受け取る相手が内容を理解し、行動に移せることです。
そのためには発信する側も受け取る側も事前準備が必要です。

自治体や企業、避難所運営者は平時から次のような準備を行うことが望まれます。
災害時には職員も混乱した状況の中で対応することになります。
そのため、
「何を」 「誰が」 「どの方法で」 「何語で伝えるか」
をあらかじめ整理しておくことが、迅速な情報発信につながります。
住民側も災害への備えが必要です。
例えば、
などが挙げられます。
また見落とされがちなのが「聞こえ」の備えです。
避難所では、
など、多くの情報がアナウンスで伝えられます。
高齢者や耳が聞こえにくい方にとっては、重要な情報を聞き逃すリスクがあります。
そのため、
などを非常持ち出し袋に入れておくことも有効な防災対策です。
日本の防災は今、「備蓄中心」から「情報伝達を含めた総合的な防災」へと進化しています。
多言語対応、やさしい日本語、ピクトグラム、音声案内、聞こえの支援。
これらはすべて「誰ひとり取り残さない防災」を実現するための仕組みです。
自治体では多言語化や防災アプリの整備が進んでいますが、地域や企業にもできることがあります。
災害時に命を守るためには、「伝えた」ではなく「伝わった」を目指すことが重要です。
多言語対応と情報伝達環境の整備は、外国人住民、高齢者、障がいのある方を含むすべての人が安心して避難できる地域づくりへの第一歩となるでしょう。
カテゴリー
カテゴリー