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当社は国土交通省 中部地方整備局の電気通信機器や、クレーン無線操縦装置の保守を行っています。
私が入社した当時は、国土交通省ではマイクロ回線及びデジタル端局装置 PDH (plesiochronous digital hierarchy)による通信網が主流でしたが、光ファイバー網が整備されるに従い、
SDH (synchronous digital hierarchy)
↓
RPR(Resilient Packet Ring)
↓
MPE (Multimedia. Processing Equipment)
といったように推移していきました。
マイクロ回線は現在でも利用されていますが、光ファイバー網に問題があった際の迂回路としての役割が主になっています。
昔は、デジタル端局装置のパッケージから保守パネル間を断器ケーブルで接続し、信号レベルを測定するといった作業を当たり前のように行っていたのですが、今では行うこともなくなりました。
機器には寿命がありますし、技術はどんどん進化していきます。
この業界に身をおいて20年以上、時代の流れと共に機器は新しく移り変わっていきますが、点検技術者として気にしなければいけないポイントは変わらないと感じています。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
そのポイントを今回は3つに絞って記載します。
「システム全体を理解しろ! 」
私が新人時代によく言われた言葉です。
・対象機器の点検をこなすことだけ(点検方法を覚えることだけ)に注力していませんか?
・点検する機器は独立して動作する機器ですか? それともシステムの一部なのでしょうか?
・周囲に接続されている機器は把握していますか?
例)
タンクの水位をセンサーで監視していて、取得したデータが一定の値以下になったらポンプが回ってタンクに水を補給するシステムがあったとしましょう。
点検対象機器は、センサー信号をA/D(アナログ/デジタル)変換して後段に出力する機器とし、この機器のA/D変換精度を確認するものとします。
データのA/D変換精度を確認するために、センサーの変わりに疑似信号を入力しようとしてセンサー入力を外しました。
これはOKですか?
・・・データが一定値以下になったらポンプが回るんですよね。
何の処置もせずにいきなりセンサー入力を外したらどうなりますか?
答えは書かなくてもわかりますよね。
点検対象の機器だけに注力していてはいけません。
点検している機器が止まった時の影響範囲は? 誰がどれだけの損害を被るのでしょう。
周囲に接続されている機器を含め、広い視野で見ることを意識しましょう。
機器が停止した場合、データを送受信している機器の場合は当然データの送受信も止まってしまいます。
点検している機器のデータはどこで利用されているのでしょう。
ホームページで公開されていて、一般の人が誰でも見れるデータだったら?
道路規制をかけるための基準データだったら?
はたまた避難指示を判断するためのデータだったら?
点検を失敗して変なデータを送っちゃった・・・で済まされませんよね。
扱いようでは大混乱になる代物で、怖いですよね正直。
でも、そのデータがどのように利用されているかを知らないとその怖さは実感できません。
もし誤ったデータを流してしまったらどうなるか?
ぜひ、想像してみましょう。
点検だけにとどまらず仕事は「想像力」が大切です。
現場での作業を前もって想像できなければ段取りもまともにできません。
現地で機器の点検をしました。不具合が見つかり口頭でお客様に報告します。
後日、点検データと不具合の内容を書面でまとめてお客様に提出しました。
やれやれ、無事点検作業が終わりました。
新人の時、これで点検が終わったと思っていた私は上司にこう言われました。
「お前、それでも技術者か?
不具合を直すのに必要な費用は? 要する期間は?
機器の維持運用を考えて、必要な提案を客先に行うまでが技術者の仕事だろ」
確かにそこまで考えて行動できなければ二流いや三流の技術者なんだと
ハッとさせられたのを覚えています。
点検でデータを取るのは、ある意味出来て当然のことです。
点検作業が行える。それだけで満足していませんか?
点検は何のために行っているのか? 考えてみましょう。
—
以上、私が点検を行ってきて重要と考えてきた3つのポイントについてお伝えしました。
多少なりともお役に立てば幸いです。
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